• 2026年6月9日

健康診断で「血糖値が高い」と言われたら?【糖尿病専門医が解説】

健康診断の結果で、

  • 「血糖値が高めです」
  • 「糖尿病の疑いがあります」
  • 「要精密検査」
  • 「HbA1cが高い」

と書かれていて不安になったことはありませんか?

高血糖は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、健康診断で初めて指摘される方も少なくありません。

一方で、健診で異常を指摘されたからといって、すぐに糖尿病と診断されるわけではありません。

今回は、健康診断で血糖値が高いと指摘された方向けに、糖尿病やその検査について解説します。

血糖値とは?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。

食事をすると血糖値は上昇し、膵臓から分泌されるインスリンによって適切な範囲に調節されています。

しかし、

  • インスリンの分泌が不足する
  • インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)

と血糖値が高くなります。

健診で高血糖を指摘されたら糖尿病?

健診で高血糖を指摘されると、糖尿病を心配されるかと思いますが、必ずしも糖尿病とは限りません。

健康診断では主に

  • 空腹時血糖
  • HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖を反映)

が測定されます。

一般的には、

  • 空腹時血糖 100〜109 mg/dL:正常高値
  • 空腹時血糖 110〜125 mg/dL:境界型糖尿病(糖尿病予備群)
  • 空腹時血糖 126 mg/dL以上:糖尿病型

とされています。

また、

  • HbA1c 5.6〜5.9%:注意が必要
  • HbA1c 6.0〜6.4%:糖尿病予備群
  • HbA1c 6.5%以上:糖尿病型

とされています。

ただし、血糖値もHbA1cも糖尿病型の場合は糖尿病の診断となりますが、2つがそろわなければ再検査や追加検査を行います。

高血糖の原因

2型糖尿病

最も多い原因です。

体質に加えて、

  • 肥満
  • 運動不足
  • 食べ過ぎ
  • 加齢
  • ストレス

などが関係します。

初期にはほとんど症状がありません。

(2型糖尿病についてはホームページの診療案内にも記載しています。)

1型糖尿病

自己免疫異常などにより膵臓のインスリン分泌能が著しく低下する病気です。比較的若年者に多いですが、中高年で発症することもあります。

  • のどの渇き
  • 多飲
  • 多尿
  • 体重減少

といった症状が急に出現する場合は注意が必要です。

(1型糖尿病についてはホームページの診療案内にも記載しています。)

緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM・LADA)

大人になってから発症する1型糖尿病です。

最初は2型糖尿病のように見えることがありますが、徐々にインスリン分泌が低下していきます。

(緩徐進行1型糖尿病については別のブログ記事にも記載しています。)

その他の原因

  • ステロイド薬
  • クッシング症候群
  • 先端巨大症
  • 膵炎
  • 膵臓腫瘍
  • 妊娠

などでも血糖値が高くなることがあります。

高血糖を放置するとどうなる?

高血糖が長期間続くと、血管障害が進行します。

細小血管障害

  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性腎症

大血管障害

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症

糖尿病は症状がないまま進行するため、これらの合併症を発症・進行させないためには、糖尿病の早期発見と早期治療が重要です。

また糖尿病の診断時や治療中は神経障害や網膜症、腎症の進行具合を確認し、必要に応じて頸動脈エコー検査や心電図検査などを行います。

健診で異常を指摘されたら何を調べる?

血液検査

  • 空腹時血糖
  • HbA1c
  • 肝機能
  • 腎機能
  • 脂質

などを測定し、必要に応じてCペプチド(インスリン分泌能を見る検査項目)や抗GAD抗体(1型糖尿病や緩徐進行1型糖尿病の診断に用いる検査項目)を確認します。

尿検査

  • 尿糖
  • 尿蛋白
  • 尿中アルブミン

を確認し、普段の血糖コントロール状況や糖尿病性腎症の進行具合を確認します。

必要に応じて追加検査

  • 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
  • 持続血糖測定(CGM)
  • 腹部超音波検査

などを行うことがあります。

糖尿病と診断されたら?

糖尿病と診断されても、早い段階から適切な治療を行うことで、健康な方と変わらない生活を送ることができます。

治療の基本は、以下の3つです。

① 食事療法
適切なエネルギー量を守り、栄養バランスの良い食事を心がけます。極端な食事制限ではなく、無理なく続けられる食習慣を身につけることが大切です。

② 運動療法
ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングは、血糖値の改善や体重管理に効果があります。患者さんの年齢や体力に合わせて、無理のない範囲で継続することが重要です。

③ 薬物療法
食事療法や運動療法だけでは十分な改善が得られない場合や、血糖値が高い場合には薬による治療を行います。内服薬や注射薬などから、患者さんの病態や生活スタイルに合わせて選択します。

当院では、患者さん一人ひとりの生活背景や病状に合わせて治療方針を提案し、血糖値の改善だけでなく、将来の合併症予防を目指した診療を行っています。

当院からのメッセージ

 健康診断で「血糖値が高い」「HbA1cが高い」と指摘されると、その中には

・糖尿病予備群(境界型糖尿病)
・初期の糖尿病
・すでに治療が必要な糖尿病
・1型糖尿病や緩徐進行1型糖尿病

などが含まれています。

特に、

・HbA1c 6.0%以上の方
・空腹時血糖 110mg/dL以上の方
・ご家族に糖尿病の方がいる方
・肥満や体重増加がある方

は、一度専門的な評価を受けることをおすすめします。

糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、放置すると神経障害・網膜症・腎症などの合併症や、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高くなります。

一方で、早期に発見し適切な治療を開始することで、多くの場合は良好なコントロールが可能です。

健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方は、そのままにせずお気軽にご相談ください。
当院では糖尿病専門医が診察を行い、必要に応じて詳しい検査や治療をご提案いたします。

まとめ

  • 健診で血糖値が高いと言われても、すぐに糖尿病とは限りません。
  • 糖尿病予備群や初期の糖尿病であれば、生活習慣を見直すきっかけとなります。
  • すでに治療が必要な糖尿病であれば、早期治療が大切です。
  • 高血糖を放置すると合併症の原因になります。
  • 健診で異常を指摘された場合は早めに受診しましょう。
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