- 2026年5月27日
健康診断で「コレステロールが高い」と言われたら? 【内分泌代謝科専門医が解説】
健康診断の結果を見て、
「LDLコレステロールが高いですね」「中性脂肪が高いですね」「脂質異常症の疑いがあります」
と言われたことはありませんか?
特に自覚症状がないため、
「少しくらい高くても大丈夫だろう」「薬を飲むほどではないのでは?」
と考える方も少なくありません。
しかし脂質異常症は、知らないうちに血管を傷つけ、将来の心筋梗塞や脳梗塞につながる可能性がある病気です。
今回は脂質異常症について、できるだけわかりやすく解説します。
脂質異常症とは?
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が異常な状態をいいます。
具体的には、
- LDLコレステロール(悪玉コレステロールと呼ばれることがあります)が高い
- HDLコレステロール(善玉コレステロールと呼ばれることがあります)が低い
- 中性脂肪(トリグリセライド)が高い
のいずれかがみられる状態です。
以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、HDLコレステロールは低いことが問題になるため、現在は「脂質異常症」という名称が使われています。
なぜコレステロールが高いといけないの?
コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となり、生命維持に欠かせない身体に必要な成分です。しかし、「LDLコレステロールが多すぎる状態」が良くありません。
余分なLDLコレステロールは血管壁にしみ込んで蓄積し、動脈硬化を進行させます。
これが進行すると、
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
などの原因になります。
LDLコレステロールとHDLコレステロールの違い
LDLコレステロール
LDLコレステロールは肝臓から全身へコレステロールを運ぶ役割があります。
しかし増えすぎた状態は、血管壁にしみ込んで蓄積し、動脈硬化を進めるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあります。
HDLコレステロール
一方でHDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがあります。
動脈硬化を防ぐ方向に働くため、「善玉コレステロール」と呼ばれることがあります。そのため、LDLコレステロールが高いだけでなく、HDLコレステロールが低い場合にも注意が必要です。
中性脂肪が高いとどうなる?
中性脂肪はエネルギー源として重要ですが、多すぎると様々な問題を引き起こします。
- HDLコレステロールを減少させる
- 動脈硬化を起こしやすいLDL粒子を増やす
- 肥満や脂肪肝の原因となる
さらに中性脂肪が非常に高い場合(500~1000mg/dL以上)には、急性膵炎という重い病気を引き起こすこともあります。
健康診断でどのくらいなら要注意?
日本動脈硬化学会では、以下を脂質異常症の診断基準としています。
- LDLコレステロール:140mg/dL以上
- HDLコレステロール:40mg/dL未満
- 中性脂肪(空腹時):150mg/dL以上
- Non-HDLコレステロール:170mg/dL以上
ただし重要なのは、「基準値を超えたら全員が薬を飲むわけではない」ということです。
コレステロールの薬はいつから必要?
患者さんから最も多い質問の一つです。
実際には、
- 年齢
- 高血圧の有無
- 糖尿病の有無
- 喫煙歴
- 家族歴
- 心筋梗塞や脳梗塞の既往
などを総合的に評価して判断します。
例えば同じLDLコレステロール160mg/dLでも、30代で他に病気のない方と、糖尿病や高血圧を合併している70代の方では、必要な治療が大きく異なります。


実は「LDLだけ正常」でも安心できないことがあります
脂質異常症ではLDLコレステロールだけでなく、LDLとHDLのバランスも重要で、HDLコレステロールが低いことで動脈硬化リスクが高くなっている可能性があります。
採血結果は一つの数字だけでなく、全体のバランスを見ることが大切です。
今日からできる脂質改善のポイント
脂質異常症の治療の基本は生活習慣の改善です。
特に重要なのは、
食事
- 揚げ物や脂身を減らす
- 野菜を増やす
- 魚を積極的に食べる
- 甘い飲み物やお菓子を控える
- アルコールを飲み過ぎない
運動
- ウォーキング
- 自転車
- 軽いジョギング
などの有酸素運動を週150分程度行うことが推奨されています。
禁煙
喫煙はHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化を強く進行させます。禁煙は最も効果的な動脈硬化予防の一つです。
当院からのメッセージ
脂質異常症は症状がないため、つい放置されがちな病気です。しかし、心筋梗塞や脳梗塞はある日突然発症します。
健康診断でコレステロールや中性脂肪の異常を指摘されたら、「まだ症状がないから大丈夫」と考えず、一度ご相談ください。
当院では採血結果だけでなく、高血圧や糖尿病などの合併症も含めて総合的に評価し、一人ひとりに合った治療方針をご提案しています。また、現在の動脈硬化の評価として、第2・第4土曜日には超音波検査技師による頸動脈エコー検査を実施しています。
まとめ
脂質異常症は動脈硬化を進行させる病気です。
LDLコレステロール高値・HDLコレステロール低値・中性脂肪高値が問題となります。
放置すると、心筋梗塞や脳梗塞の原因になることがあります。
治療は生活習慣改善が基本で、薬が必要かどうかはリスク全体を見て判断します。
健康診断で異常を指摘された方は、将来の血管病予防のためにも早めの対策をおすすめします。