- 2026年5月24日
高血圧治療ガイドライン2025改訂 ― 血圧目標値はどう変わった?
2025年8月、日本高血圧学会より「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が発表されました。
高血圧は日本人に最も多い生活習慣病の一つであり、脳卒中や心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの重大な病気の原因となります。
今回の改訂では、これらの病気をより予防するために、血圧の管理目標値が見直されたことが大きなポイントです。
なお、高血圧の診断基準自体に変更はありません。
なぜ血圧目標が見直されたのか?
近年の国内外の研究により、これまで考えられていたよりも積極的に血圧を管理した方が、
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 心不全
- 心血管死亡
などのリスクを減らせることが明らかになってきました。高齢者においても適切な降圧による利益が示され、今回のガイドライン改訂につながりました。
2025年ガイドラインで何が変わった?
今回のガイドラインでは、年齢や病気の有無にかかわらず、基本的な降圧目標が次のように統一されました。
目標血圧
- 診察室血圧:130/80mmHg未満
- 家庭血圧:125/75mmHg未満
従来のガイドラインでは、高齢者や一部の患者さんでは比較的緩やかな目標が設定されていました。
しかし今回の改訂では、高齢者も含めて原則として同じ目標値が推奨されています。
特に75歳以上の方では、
家庭血圧135/85mmHg未満
↓
家庭血圧125/75mmHg未満
へ変更されたことが大きなポイントです。
家庭血圧がますます重要に
高血圧治療では、診察室で測定した血圧だけでなく、自宅で測定した家庭血圧が非常に重要です。
診察室では緊張によって血圧が上昇する「白衣高血圧」がみられることがあります。
反対に、診察室では正常でも自宅では高血圧となる「仮面高血圧」の方もいます。
そのため現在の高血圧診療では、「家庭血圧を中心に管理する」という考え方が主流となっています。
家庭血圧測定のポイント
- 朝起床後1時間以内
- 排尿後
- 朝食・服薬前
- 椅子に座って1~2分安静後
に測定するのが理想的です。
可能であれば夜も測定し、記録して受診時に持参しましょう。
血圧は低ければ低いほど良い?
今回のガイドラインではより厳格な血圧管理が推奨されていますが、「全員ができるだけ低くすれば良い」という意味ではありません。
例えば、
- 頸動脈狭窄症
- 冠動脈疾患
- 重度の慢性腎臓病
- 起立性低血圧がある方
などでは、血圧を下げすぎることで臓器への血流が不足する可能性があります。
また長年高血圧だった方では、急激な降圧により
- めまい
- ふらつき
- 転倒
- 腎機能悪化
などが生じることがあります。
重要なのは「目標値だけを見る」のではなく、安全に血圧を管理することです。
当院の考え方
ガイドラインは診療の重要な指針ですが、患者さん一人ひとりの状況は異なります。
当院では、
- 年齢
- 動脈硬化の程度
- 糖尿病や腎臓病の有無
- 内服薬
- 日常生活
- ご本人の希望
などを総合的に考慮しながら、最適な血圧目標を一緒に考えていきます。
「血圧の薬を飲んでいるけれど今の値で良いのか分からない」
「最近血圧が高くなってきた」
という方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
高血圧管理・治療ガイドライン2025が発表されました。
基本目標は「診察室130/80mmHg未満」「家庭125/75mmHg未満」です。
75歳以上の高齢者でも積極的な降圧が推奨されるようになりました。
家庭での血圧が重要です。
ただし患者さんごとに最適な血圧目標を設定します。
高血圧は症状がなくても、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める病気です。家庭血圧を定期的に測定し、ご自身に合った血圧管理を続けていきましょう。