肥満症
肥満とは、エネルギーの過剰摂取や運動不足などにより体内に脂肪が過剰に蓄積し、BMI[BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]が25以上となった状態を指します。単に体重が多いというだけではなく、内臓脂肪の蓄積が特に重要であり、見た目が細くても内臓脂肪が多い場合は注意が必要で、さまざまな健康障害と深く関係しています。
肥満度分類(肥満症診療ガイドライン2022)
肥満に起因ないし関連する健康障害(肥満症診療ガイドライン2022)
1.肥満症の診断に必要な健康障害
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指 関節,変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
2.肥満症の診断には含めないが、肥満に関連する健康障害
- 悪性疾患: 大腸がん・食道がん(腺がん)・子宮体がん・膵臓がん・腎臓がん・乳がん・肝臓がん
- 胆石症
- 静脈血栓症・肺塞栓症
- 気管支喘息
- 皮膚疾患:黒色表皮腫や摩擦疹など
- 男性不妊
- 胃食道逆流症
- 精神疾患
これらの病気を合併し、医学的に減量が必要な肥満を肥満症と呼びます。
当院では、医学的根拠に基づき、以下の流れで安全な減量サポートを行い、生活習慣の見直しから薬物療法まで、患者さんそれぞれに合わせた治療を提供します。
① 医学的評価
血液検査などで肥満に伴う健康障害(糖尿病・高血圧・脂質異常症・脂肪肝など)も同時に評価し、全身を総合的に管理します。なぜ太りやすいのか、減量を妨げている要因は何かを一緒に整理します。
② 生活習慣の改善
適切な摂取カロリーの目安を提案し、極端な制限よりも継続できる食事・運動を重視します。
栄養バランスの調整、間食や食事時間の見直し、無理のない有酸素運動や筋力維持をサポートします。
③ 薬物療法
生活習慣の改善だけで効果が不十分な場合、薬物療法を検討します。
2型糖尿病の診断がついている方では、SGLT2阻害薬、経口GLP1受容体作動薬(リベルサス)、GLP-1受容体作動薬(オゼンピック)、GLP1・GIP受容体作動薬(マンジャロ)の使用を検討します。
上記の薬剤は2型糖尿病の治療薬としてのみ国内で承認されており、肥満症に対する適応は承認されていません。
肥満症に対して適応のあるGLP-1受容体作動薬(ウゴービ)、GLP1・GIP受容体作動薬(ゼップバウンド)は保険診療で処方できる施設が大学病院などの総合病院に限られており、連携医療機関へ紹介を検討します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠中に呼吸が浅くなったり止まったりするのを繰り返す病気です。「大きないびき」「日中の強い眠気・集中力の低下」が代表的な症状です。放置すると睡眠中に低酸素状態が繰り返し、高血圧や脳卒中、心臓血管疾患、糖尿病の悪化リスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群には、2つのタイプがあり、①首の周囲にたくさん脂肪がついている方、舌が大きい方、扁桃が大きい方、あごが小さい方などによくみられる、空気の通り道が狭くなることで発症する閉塞性睡眠時無呼吸症候群と、②脳からの呼吸指令が出なくなることで引き起こされる中枢性睡眠時無呼吸症候群です。
①の閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、就寝前にお酒を飲み過ぎる、睡眠薬を服用することで、症状が悪化することがあり、生活習慣を見直すことも大切です。
検査について
当院では、自宅での簡易検査に対応しています。パルスオキシメーターや呼吸センターを貸与するので、一晩指先や鼻に装着し、睡眠中の酸素飽和度や脈拍、呼吸の状態などを把握し、次回に来院された際に回収して分析します。このスクリーニング検査よりも詳しい検査が必要なときは、当クリニックと提携している病院に一泊入院していただき、ポリソムノグラフィーによる精密検査を行います。
治療について
体重管理、飲酒の調整、横向きに睡眠するなど生活習慣の改善を意識し、鼻閉がある方では耳鼻咽喉科で治療をおすすめします。
軽症~中等症の方では、専用のマウスピースを歯科で作成してもらい、就寝時に装着することで、下あごを前方に保ち、気道の閉塞を防ぎます。
重症〜中等症の方に最も効果の高い治療が持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)で、睡眠中に鼻マスクから空気を送り、気道の閉塞を防ぎます。
いびきや無呼吸の改善、日中の眠気の改善、血圧・心血管リスクの低減、睡眠の質の向上が期待できます。
睡眠時無呼吸症候群でお困りの方へ
睡眠時無呼吸症候群は、気づかないうちに全身に影響します。当院では、負担の少ない検査で正確に診断し、患者さんに合わせた最適な治療をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。
