1型糖尿病とは
1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊れてしまうことでインスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。生活習慣が原因ではなく、免疫の異常などによって、ご自身の細胞が攻撃されて起こります。お子さんや若い世代に多いとされますが、大人になってから発症することも珍しくありません。
インスリンが急激に不足すると、強い喉の渇き・多飲・多尿・体重減少・倦怠感、さらに重症の場合は腹痛や吐き気、意識障害を伴う「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)」になることがあります。特に発症が急な場合は、早期の受診と治療開始が必要です。
1型糖尿病の治療
1型糖尿病では、インスリン分泌能が枯渇してしまうため、インスリンを外から補うことが治療の中心になります。インスリンには役割の異なる2つのタイプがあります。
- 食事で上がる血糖を下げる追加インスリンを補う、超速効型インスリン
- 食事に関係なく1日を通して必要となる基礎インスリンを補う、持効型インスリン
この2つを組み合わせることで、健康な人の体に近いインスリン分泌を再現し、血糖コントロールを行います。自己血糖測定やリブレ(間歇スキャン式血糖測定)、食事や運動の工夫も組み合わせて、日常生活の中で血糖を安定させていきます。
インスリン分泌の概略
インスリン治療を中断してはいけない理由
インスリン分泌能が枯渇した1型糖尿病の方では、インスリン治療が生命維持に必要不可欠です。治療を中断すると、数日で糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)となり、命に関わることがあります。DKAは、体の中のインスリンが大きく不足することで起こる、非常に危険な状態です。インスリンが足りないと、体は糖をエネルギーとして使うことができず、代わりに脂肪を分解します。その過程でケトン体という酸性物質が大量につくられ、体が酸性に傾き、急激に体調が悪化します。
症状は、強い喉の渇きや吐き気、嘔吐、腹痛から始まり、呼吸が荒く深くなっていきます。体がだるく力が入らない、意識がぼんやりするなどの変化がみられることもあり、放置すると数日以内に命に関わる状況となります。
特に1型糖尿病の方では、インスリン治療を自己判断で中断したときや、発熱や嘔吐などの体調不良でインスリンが不足したときに、短期間でDKAになることがあります。早期に治療すれば改善するため、普段からインスリンを切らさないこと、体調が悪いときは早めに医療機関を受診することがとても大切です。
また、治療を中断して高血糖の状態が続くと、網膜症・腎症・神経障害などの合併症が進行してしまいます。
1型糖尿病の検査
診断は複数の検査を組み合わせて行います。
- 血糖・HbA1c:高血糖の有無と普段のコントロール状況を確認します。
- Cペプチド:ご自身でインスリンをどれだけ作れているかを評価します。
- 自己抗体(GAD抗体など):自己免疫による1型糖尿病かどうかを判断します。
- ケトン体測定:インスリン不足の程度を確認します。
- 必要に応じて膵臓の画像検査(超音波、連携医療機関でCT など)を行います。
症状や経過から急性発症が疑われる場合は、検査結果を待たずに早急に入院で治療を開始することがあります。
1型糖尿病の日常生活の注意点
1型糖尿病は、インスリンが体内でほとんど作られないため、インスリン治療を行っても、生活習慣の変化で血糖値が大きく変動することがあります。生活の中で、以下を意識することが大切です。
- インスリンを正しく使用し、自己判断で中断しないこと
- 血糖値を確認し、変動に気づくこと
- 食事を規則正しく、適切な炭水化物量を意識すること
- 低血糖の初期症状(ふるえ、動悸、冷汗、強い空腹感)を知っておくこと
- 低血糖への備え(ブドウ糖など)を常に持ち歩くこと
- 運動するときは低血糖に注意すること
- 発熱や嘔吐など体調不良時に医師の指示のもと、インスリン量を調整すること
- 定期的な診察と検査を受けること
緩徐進行性1型糖尿病(SPIDDM)について
1型糖尿病の中には、急に症状が出る劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病と、ゆっくり進行する緩徐進行性1型糖尿病(SPIDDM)があります。SPIDDMは、初期は2型糖尿病に似ており、経口糖尿病薬で血糖値が改善することもありますが、数か月〜数年かけて徐々に膵β細胞が破壊されて、インスリン分泌能が低下し、最終的にインスリン治療が必要になります。自己抗体(GAD抗体など)が陽性であることが多く、Cペプチドの低下があれば診断します。適切なタイミングでインスリン治療を開始することで、残った膵β細胞を守り、血糖を安定させることができます。
糖尿病治療の費用の目安について
糖尿病治療の費用は内服薬を使用しているか、注射薬を使用しているか、血糖測定をしているかなどによって異なります。
詳しくはリンクをご参照ください。
1型糖尿病の方へ
1型糖尿病は生活習慣が原因ではなく、突然起こりうる疾患です。インスリン治療が必要ですが、きちんと血糖を管理すれば、学校や仕事、スポーツ、妊娠・出産など、ほとんどの日常生活を問題なく過ごすことができます。当院では、患者さんの生活に合わせたインスリン治療の調整、リブレなどの最新デバイスを使った血糖管理、連携医療機関と協力し、安心して治療に取り組めるようサポートします。どうぞお気軽にご相談ください。
